Coronavirus bailouts: Which country has the most generous deal?
2020年5月8日
導入部
新型コロナウイルスによって世界中で経済活動が停止し、各国が緊急事態に直面する中、1930年代以来最悪の景気縮小による打撃を緩和するために大規模な経済支援策が相次いで取られている。
IMFによると、4月7日までに世界中で4.5兆ドル以上の規模の緊急措置が承認されたという。それから数週間、その数字は伸び続けている。
では、各国の経済措置を比較してみよう。
新規経済対策
コロンビア大学経済学部のCeyhun Elgin教授は166ヶ国の対応を調べるために、世界中の共同研究者と研究を続けている。
Elgin教授の計算によると、日本の対応は最も積極的な部類であり、緊急経済対策は国家経済のおよそ20%にも達する。(GDP比で日本よりも多いのはマルタだけだが、欧州連合の資金の恩恵を受けている。)
他の国の経済支援策の規模は、アメリカがGDP比約14%、オーストラリアが11%、カナダが8.4%、イギリスが5%、コロンビアが1.5%、ガンビアが0.6%となっている。
しかし、中央銀行の財政出動など、財政支出だけではない対策も考慮に入れると、このランキングは変貌する。
例えば、欧州の経済大国では、銀行の貸し剥がしを防ぎ倒産を食い止めるという、経済活動の停止によって打撃を受けた企業に向けた新しい融資制度の創出確約が経済対策の主要な部分を占めている。
アメリカの中央銀行も同様の目的で貸付計画に介入している。
これらのような政策を要因として含めると、フランスがランキングのトップになり、イギリスも47位から5位に浮上する。
Elgin教授は、最も大規模な政策は、経済的に豊かで歴史が長く、病院のベッド数が少ない国で取られていると述べている。アメリカや日本のような国は、国債が投資家に人気があり、低利率での資金調達が可能であるので、新規の政策のための資金調達で有利な立場にある。
しかし、国によって資金の活用方法は異なるので、資金が大きいほど効率的とは限らないとElgin教授は言っている。
「新型コロナウイルスに対する一連の政策がそれぞれにざまざまな相乗効果を及ぼしあい、異なる成果を生み出すかもしれない。」とElgin教授は言う。
企業を対象とした給付金は「経済先進国」に特有の現象のようだ、とIMF財政局副局長であるPaolo Mauro氏は言う。給付金のために必要な金額の合計は莫大な額になる可能性があるが、Mauro氏によると、多くの企業は計画通りにローンを返済することができるので、このような給付金政策は低リスクな傾向にあるという。
一方で、比較的貧しい国々は経済対策の準備はしているものの、実施には国際機関などからの経済的援助が必要だろう。
直接給付
救済政策の一環として国民に現金給付を行う国も見られる。
多くの国では、現金給付は他の政策では支援を得られない貧困層や非公式経済の中で働いている人を対象としたり、経済活動の停止によって影響を受けた職種の人に限ったりしている。
例えば、カナダでは、新型コロナウイルスの流行によって収入がなくなった人に対し、毎月2,000カナダドル(1,150ポンド、1,400ドル)を最大4ヶ月支給し、コスタリカでは新型コロナウイルスで失業した人に対して毎月220ドル(177ポンド)の手当てを支給している。
アメリカと一部のアジアの国々はさらに広範囲の人々を対象とした政策を取っている。
年収99,000ドル未満の全てのアメリカ人(全世帯のおよそ90%)は成人一人当たり1,200ドル(964ポンド)もの金額を受け取ることができ、韓国政府は世帯年収が下位70%に当たる世帯に百万ウォン(659ポンド、820ドル)の小切手を送付している。
香港は2月に成人一人当たり10,000香港ドル(985ポンド、1,280ドル)の給付を発表し、日本は国民一人当たり100,000円(752ポンド、931ドル)、シンガポールは600シンガポールドル(340ポンド、422ドル)を支給している。
それに対してヨーロッパでは、多くの国が一時限りの現金給付に反対の立場であり、高まる支援の必要性に対応するためにイギリスのユニバーサル・クレジットのような既存の比較的強力なセーフティーネットに依拠する政策を取っている。
「その違いは経済学者が言うところの自動安定装置(automatic stabilisers)にある。」とIMFのMauro氏は言う。「アメリカでは政府の裁量による政策は非常に大規模だが、福祉的観点から考慮するべき要素を比較すると、実は社会的なセーフティーネットが脆弱なアメリカでより多くの支援が行われる必要がある。」
賃金助成
各国政府による救済策でもう一つ一般的なのが、都市封鎖等による経済活動の停止によって困窮している企業に対し給与の支払いを助成するというものである。この政策は、企業が雇用を維持できれば、感染拡大防止のための各種規制が解除された時に経済が迅速に回復するのを助長するだろうという期待に基づいている。
オランダの政策は最も寛大なうちの一つで、対象となる企業の賃金負担を最大90%肩代わりすることを約束している。一方フランスは、総賃金支払額の84%の助成、そして労働者の給与が最低賃金の場合は100%まで助成するとしている。
イギリスは一時帰休中の従業員の給与の80%を一事業者当たり毎月2,500ポンドを上限として最低3ヶ月助成する計画で、カナダは給与の75%を3ヶ月まで助成する。
これらの助成計画は既存の「短期的な効果のある」政策を補強している。
そのような土台となる政策が不十分なアメリカでは、企業が従業員数を維持し貸付金の大部分を2ヶ月以内に賃金の支払いに充てるなら返済する義務がなくなる事業貸付制度に6,500億ドル以上を投入するという、やや間接的な政策を取った。
Paycheck Protection Programと呼ばれるこの制度はあまりに多くの需要があったが、同時に議論の的となって混乱している。中小企業の救済を目的として作られた制度にもかかわらず大企業が資金の大部分を吸い上げてしまっているという激しい怒りの声が広範囲に上がっているのである。
企業の存続を脅かしているのは賃金の支払い以外の要因であることに加えて、低賃金労働者は新たに拡大された失業手当を受給する方が利益が大きいのではないかと主張し、貸付制度が賃金の支払いに焦点を合わせすぎていることを批判する企業も存在する。
「経済活動の停止が短期間であるなら賃金助成は有効だ。」とワシントンシンクタンク税金財団における国際プロジェクトの副総裁であるDaniel Bunn氏は言う。「しかし長期間続くなら有効性は下がるだろう、さらに経済の輪郭を大きく変えることになるだろう。」
「難題は、経済活動の停止がどのくらいの期間続くのか、さらにどのポジションの企業、家庭、労働者がその影響をあまり受けない側にいるのが分からないことだ。」とBunn氏は述べている。
現時点では、Bunn氏曰く、資金力のある多くの国は必要な人に支援が届かないよりは必要でない人に支援をし過ぎる方がマシだと決断したようだ。そもそも現時点では「支援のし過ぎ」かどうか結論を出すには早過ぎるのではあるが。
日本のメディアの自国下げが激しいのとは対照的に、イギリスのメディアは(たとえお金が無くても)ヨーロッパは他より優れている!と主張しないと気が済まない感じがします。
翻訳元記事
Coronavirus bailouts: Which country has the most generous deal?
画像は翻訳元記事より引用