ブラジルのCovid-19危機はアメリカがソーシャルディスタンシングを緩和したらどうなるかを示している

Brazil’s Covid-19 Crisis Shows What Will Happen if the U.S. Relaxes All Social Distancing Standards

2020年5月22日

世界で注意すべき異変が起きている。悲しいことに、その異変そのものとそれが発する警告は無視されている。Covid-19に対してアメリカよりも酷い対応をし、酷い結果になっている国があるーーブラジルである。ブラジルでは状況は全く好転していないどころかどんどん悪くなっていきそうである。

アメリカで起こっている問題と多くの類似点がある。リオでは、スラム街の人々は老人ホーム、刑務所、公的住宅で支給される食糧を分け合っている。先住民コミュニティの人口は800,000であり、サンパウロ(Sao Paolo)はニューヨークの感染爆発の中心地に非常によく似ている。別の残念な類似点は、政府が貧困層に対して無関心なことである。ブラジルは世界で最も格差の大きい国だ。富裕層は自家用ヘリコプターで移動し、警備員を雇っており、全く危険にさらされていない。4月末には、棺桶の在庫がなくなる都市が複数あった。

Bolsonaro(ボルソナーロ)政府は新型コロナウイルスを軽視している。Jair Bolsonaro(ジャイール・ボルソナーロ)大統領は新型コロナウイルスを憂慮することは「ノイローゼ」だと言っている。彼は「新型コロナウイルスに対して為すべきことは何もない。」と言う。砂浜に大規模な群衆を集め、大規模で混雑した政治集会を開き、ロックダウンを行おうとした州知事と「戦争」を行っている。ソーシャルディスタンシングに反対して保健相を辞任させた。安全性が確認されていない薬を強引に使わせようとしている。もはや脚本でもあるかのようだ。

ボルソナーロ大統領はある種の指導者(トランプ大統領、新型コロナウイルス流行以前のボリス・ジョンソン首相)はドイツのアンゲラ・メルケル首相やニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相よりも無情だという印象を固めている。

現在、サンパウロの病院は医療崩壊まで2週間という状態で、ニューヨークシティやデトロイトがかつて経験したのと同様の危機に瀕している。今日ブラジルでは1日あたり1,200人が亡くなっており、アメリカの水準には達していないが、少なくとも6月間ではピークに達しないと思われ、増加傾向にある。アメリカでは毎日のように1日の死者数を見るのに慣れすぎて、数字一つ一つが生きていた人を表しているという感覚を失ってしまった。ブラジルとアメリカの違いのうちの一つは、ブラジルでは国民の半数がソーシャルディスタンシングに従わないことである。従わないというよりもできないという方がより実態に即しているかもしれない。

ブラジルはソーシャルディスタンシングを緩和したらどうなるかを示す実例だ。新たな感染爆発が起こる。ブラジルはまた、トランプ大統領が3月中旬時点のようにこの感染爆発を軽視し続けていたらアメリカがどのようになっていたか、さらに国民の半数が警戒を緩めたら第二波がどのようなものであったか、という教訓でもある。

アメリカのブラジルに対する対応は、他のすべてのことと同様に、非常に緩慢だった。ブラジルを支援していないだけではなく、アメリカ自身も危機にさらしているーー中国からの入国を禁止した頃の中国よりもCovid-19感染が拡大しているブラジルからの空路による入国をまだ禁止していない。我々は世界から隔離されており、自分を安全なところに隔離して守ることができると思っている。しかし、実際に行うのは言うほど簡単ではない。前回の感染爆発の対応の時と異なり、我々は世界に背を向けてしまっている。世界に背を向けてもアメリカもアメリカの優位性も守られることはない。

新型コロナウイルスは医療システムが貧弱な貧しい国ほど抑制するのが難しい。ハイチやアフリカは懸念材料だ。それらの地域はアメリカや主導権を握ることを選んだ国の支援がなければこの危機を乗り越えることができない。このような危険性はアメリカの一部地域にも存在している。アラバマ州とアラスカ州では感染者数が急上昇してきている。これらの州のICUの収容力は低く、特にアラバマ州では警戒すべき水準に達している。

アメリカでは夏になっても感染拡大が弱まる兆しはない。爆発的増加が続いているわけでもないが、死亡率が著しく低下しているわけでもない。これは第一波が終わって第二波が来ようとしている状況のようには見えない。しかし仮に第二波が来ないのだとしても、ブラジルでの感染拡大はアメリカが危機にさらされている事を意味する。貿易の変化、旅行の変化、インフルエンザの季節が近づくにつれての季節の変化は、我々が足並みを揃えて行動しなければ良い効果は期待できないだろう。

トランプ大統領の現在までの新型コロナウイルスに対する認識は、実質的には2月にそんなものは存在しないと述べていた頃と同じである。私は今日いくつかの非公開の議会に関する記者会見に臨んだ。そのうちの一つで、私は公衆衛生分野への投資を求めるのをやめて経済に集中するように言われた。それはまさに自分が行っていると思っている事だと言っておいた。

国内での感染拡大にしろ海外からの流入にしろ、検査、濃厚接触者の追跡、感染者の隔離という各分野の拡充が必要だ。それに加えて警戒を続ける必要がある。しんどいがやり続けなければならない。この問題に対処する最善の方法は、世界全体や弱い立場にある人々への思いやりを持ち始めることだろう。

翻訳元記事

Brazil’s Covid-19 Crisis Shows What Will Happen if the U.S. Relaxes All Social Distancing Standards

画像は翻訳元記事より引用